2016年9月15日

2016年8月の日産セレナ新型(フルモデルチェンジ)の登場にともない、安全装備「プロパイロット」が装備されました。

そこで早速、発売されたばかりのセレナに試乗してきました!

日産セレナのプロパイロット

ここではプロパイロットを中心にスバル「アイサイト」、ホンダ「ホンダセンシング」と比較しながら、違いと機能についてご紹介していきます。





日産「プロパイロット」

日産が開発したプロパイロットとは同一車線自動運転技術のことです。

アクセル・ブレーキ・ステアリングをドライバーに代わって制御することで、ドライバーのストレスを大幅に軽減させることを目的としています。

↓今回、実際に試乗してきたセレナの画像
今回試乗した日産セレナ

今回試乗した日産セレナ プロパイロット

このプロパイロットは、高速道路での単調な渋滞走行と長時間の巡航走行の際に、ドライバーを支援するシステムになっています。

設定方法は非常に簡単で、これまでのオートクルーズコントロールと変わらず、走行中の速度に合わせてステアリングにあるセットボタンを押すだけになっています。

ただし、オートクルーズコントロールとの違いは、設定中に設定速度を変えることが可能になっていることにあります。

この速度変更もステアリングにあるボタンのみでコントロールすることが可能です。

設定速度の変更もステアリングについているボタンで±5kmずつ変更できます。

↓ステアリングプロパイロット設定スイッチ部
日産セレナのステアリング プロパイロット設定スイッチ部

このプロパイロットのスイッチ操作は、親指1本で簡単に操作できます。

プロパイロットは先行車を感知すると速度を自動コントロールしながら先行車との一定の距離を保ちながら走行する事が可能となっています。

↓先行車を感知しているときの7インチモニター(プロパイロット表示時)
プロパイロットの表示 先行車を感知している時の7インチモニター

先行車が減速したら自動で減速し、先行車が加速すれば自動で追いかけていきます。運転すると慣れていないためか不思議な感覚でした。

プロパイロットでの走行中はアクセルペダルとブレーキペダルに全く足をかけていません。
何もしていないのに、加速と減速が体感できるので運転席にいることを忘れてしまいそうです。

※先行車がいなかったり、先行車がいても感知していない場合は設定速度で走行します。

↓先行車を感知していないときの7インチモニター(プロパイロット表示時)
プロパイロットの表示 先行車を感知していない時の7インチモニター

このモニター表示により、プロパイロット設定中に先行車に合わせているのか、設定速度で走っているのかが非常に分かりやすくなっていました。

また、「LDW(車線逸脱警報)/LDP(車線逸脱防止支援システム)により、道路の両脇の白線をセンサーが認識すれば、自動で車線中央に戻してくれるので道路脇にはみ出したり、衝突したりする恐れがありません。

実際に車をサイドラインに寄せてみると勝手にステアリングが動き、自動で道路中央に戻され非常に変な感じがしましたが、車はしっかり道路中央を走っていました。

この機能により緩いカーブであれば車が自動コントロールされながらクリアーしていくので、ドライバーも「車に乗せてもらっている」という感覚になってしまいます。

試乗で実際に走行した自動車専用道路では、入口から出口まで(約20km)はハンドルに手を添えていただけで、車がひとりで走りきった感じです。

プロパイロットと搭載した日産セレナ

そこにエマージェンシーブレーキにより衝突を回避(衝突時は軽減)する機能が働くことにより、自動でありながら安全な走行が可能となっています。

ただし、停車する場合はブレーキをしっかり踏んでください。

プロパイロットはブレーキを踏むことにより、設定が解除されます。

ブレーキを踏んで一度停車したら、再度プロパイロット設定ボタンを押せばブレーキペダルから足を放しても車が発進することはありません。

これは、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)状態になります。

そのため、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)がフットブレーキやレバー式ではなく、シフトレバー右隣に設置されているスイッチ式になっています。

再度ブロパイロット設定ボタンを押さない場合は、通常走行モードになるので、ブレーキから足を放してしまうと車が走り出してしまいますので注意してください。

再度発進する場合はアクセルペダルを踏んで速度が30km以上になると再びプロパイロットが作動し、自動走行が始まります。

このプロパイロットには一つ注意点があり、軽くでもいいので必ずステアリングに手を充てていてくださいとのことです。

極端に言ってしまうと、プロパイロット作動中のドライバーはステアリングに手を軽く充てて座っているだけという感じです。

ちなみに完全に手を放してしまうと、車に警告されてしまいますのでご注意を。

↓ステアリングから手を完全に放した時の「警告」を表示した7インチモニター
プロパイロットの表示 ステアリングから手を離した時に警告を表示した7インチモニター

では、次にスバルの「アイサイト」に関して紹介します。

スバル「アイサイト」

ステレオカメラにより5つの機能を備えたスバルの運転支援システムがスバルの「アイサイト」です。

プロパイロットと比較されるスバルアイサイトした

プリクラッシュブレーキ

衝突の危険を感じるとドライバーに注意喚起、回避操作がない場合はブレーキ制御を行い減速や停止を自動的に行います。

ブレーキでの回避操作を行った場合は、強い制動力を発生させるプリクラッシュブレーキが作動します。

全車速追従機能付クルーズコントロール

高速道路などの自動車専用道路で0~100km/hの広い車速域で先行車を追従走行するシステムです。

プロパイロットと比較されるスバルアイサイトした 2

これは、アクセルペダル及びブレーキペダルを操作するストレスを軽減し、ロングドライブを安全で快適なものにしてくれます。

追従は渋滞していても可能で、先行車が減速や停止してもブレーキ制御で減速、停止します。

アクティブレーンキープ

ステレオカメラで道路両側の白線を認識し、車線中央維持や車線逸脱制御によりドライバーの負担を軽減します。

AT誤発進抑制制御/AT誤後進抑制制御

障害物が検知されているときに誤発進したとシステムが判断した場合、警報と表示で注意喚起をします。

Rレンジ(後退)時にアクセルの急な踏み込みと判断した場合も同様です。

この際同時にエンジン出力を抑えることで緩やかに発進します。

警報&お知らせ機能

疲れや眠気で注意力が散漫になりふらついたりして車線からのはみ出しや逸脱を検知すると、ドライバーに知らせて回避操作を促してくれます。

また、信号待ちで先行車が発信しても自身が発進しない場合、先行車の発進をお知らせしてくれます。

次に、ホンダの「ホンダセンシング」について紹介します。

ホンダ「ホンダセンシング」

ホンダセンシングはミリ波レーダーと単眼カメラによって、対処の大きさや形状を制度の高い検知能力を持っており、車両の進行方向の状況を認識する事ができます。

プロパイロットと比較されるホンダセンシング

衝突軽減ブレーキ(CMBS)

ミリ波レーダーと単眼カメラによって先行車と対向車、歩行者を検知します。

衝突の可能性がある場合は、ディスプレイ内の表示と音で注意喚起を行い、さらに近づくと軽くブレーキが作動し体感警告をし、緊急時はブレーキの作動により事故を軽減します。

対向車との衝突の恐れがある場合はステアリング振動で警告し、回避行動が間に合わない場合は、ブレーキ作動により事故を軽減させます。

歩行者事故低減ステアリング

ミリ波レーダーと単眼カメラにより路側帯の歩行者を検知し、車線逸脱により歩行者と衝突する恐れがある場合はディスプレイ表示と音で警告し、ステアリングを回避方向へ制御し回避操作をドライバーに促してくれます。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)

ミリ波レーダーと単眼カメラで先行車との速度差・車間距離を検知し、設定した車速内で加減速しながら先行車を追従することが可能です。

アクセルやブレーキの制御を行うことで適切な車間距離を保ち、高速道路や自動車道などで運転負荷の軽減を図ります。

プロパイロットと比較されるホンダセンシング 2

LKAS(車線維持支援システム)

単眼カメラで車線を検知し、車線を逸脱しそうな場合はディスプレイ表示とステアリング振動により警告を行います。

路外逸脱抑制機能

単眼カメラで車線を検知し、逸脱しそうな場合にはディスプレイ表示とステアリング振動で警告し、車線内に戻すようステアリングが制御されます。

誤発進抑制機能

10km/h以下での走行時、近距離に先行車をミリ波レーダーが検知した場合、急なアクセルを踏み込んでも急加速を抑制し、ディスプレイ表示と音で注意を促します。

先行車発進お知らせ機能

信号機などにおいて、先行車が発進したことに気づかずに停止していると表示と音でドライバーに知らせてくれます。

標識認識機能

単眼カメラによって標識を認識し、ディスプレイ表示で注意を促します。

日産「プロパイロット」とアイサイトの違いを比較!

プロパイロットとアイサイトの違いですが、

日産はプロパイロットを同一車線自動運転技術として、先進安全装備とは別に設定しています。

それに対してスバル「アイサイト」の場合は、自動先行車追従機能も同一車線の維持についても先進安全装備の一つで、全てをまとめてアイサイトとしています。

アイサイトは室内前方にカメラ2つ、いわゆるステレオカメラを搭載することで検知範囲を広角にしました。

これに対してプロパイロットは単眼カメラの自動認識技術とセンサーにより、情報を正確にとらえることができます。

また、このプロパイロットによりパーキングブレーキも電動パーキングブレーキとなっています。

プロパイロットとホンダセンシングの違いを比較!

ホンダセンシングとプロパイロットの違いとしては、ホンダセンシングはミリ波レーダーと単眼カメラによって検知しています。

プロパイロットは前述のとおり、単眼カメラで情報収集をし、各ユニットをコントロールしている点が違いといえるでしょう。

このプロパイロットの単眼カメラは、非常に高精度で感知度も高いとのことなのでかなりの性能を持っているようです。

ホンダもスバル同様で、先進安全装備の中に車線維持と自動追従走行が設定されています。

ホンダセンシングでは自動追従走行をACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)、車線維持システムをLKAS(車線維持支援システム)と別々に称しています。

プロパイロット・アイサイト・ホンダセンシングの大きな違い

アイサイトとホンダセンシングの場合は状況に応じて、音や振動、ディスプレイ表示で警告し、支援するという動作が多いようです。

しかしプロパイロットの場合は、もちろん警告もしますが支援というよりも車が行動に入り、安全を確保しているという感じです。

このことからもプロパイロットの場合、ドライバーが車を操作しているというよりも車に乗せてもらっているという感覚が強かったというのが正直な感想です。

スバルはすべての先進安全装備を総称してアイサイトとしています。

ホンダは8つの先進安全装備をホンダセンシングとしました。

これに対して日産は、「先進安全装備+プロパイロット」として設定されています。

日産についてここではプロパイロットのみを紹介していますが、先進安全装備として「インテリジェントパーキングアシスト(駐車サポート)」や「標識識別機能」など多彩に備わっています。

しかし、レーダーやカメラの数などの違いはありますが、目指しているものの考え方はどこもほぼ同じ「安全」と「事故の撲滅」ではないでしょうか。

その中でメーカー側が数々の技術を打ち出しています。

車がひとりで走る時代が近づいていることをおもわせる技術の進化には素晴らしいものを感じてしまいます。

日産セレナのプロパイロットを比較

ですが、最後にひとつだけ。

ここで紹介した技術にも限界はあります。

この技術を勘違いしてしまい、よそ見運転や居眠り運転をしても大丈夫という考え方だけは絶対にしないでください。

この機能に頼り過ぎて事故が増えてしまえば、技術の進化がそこで途絶えてしまうかもしれません。

あくまでも補助機能として考えて安全運転に努めてください。