今も歴史に名を刻むスカイラインGTR R32は1989年に誕生し、これまでのスポーツカーの常識を覆してきました。
ここではそんなスカイラインGTR R32の当時のスペックや価格などについてご紹介していきます。
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スカイラインGTRが16年ぶりに復活!
1989年5月、スカイラインKPGC110以来、16年ぶりにGTRが復活しました。
その間スカイラインはC20型、R30型、R31型とモデルチェンジを行いますが、GTRの称号が与えられたモデルはありませんでした。
スカイラインGTR KPGC110型(通称ケンメリ)
しかし、1989年のモデルチェンジでR32型が登場すると、同年5月に、ついにGTRが復活したのです!
スカイラインGTR R32型
このGTR R32の登場は、これまでのスポーツカーの数々の常識を、大きく覆してしまうことになっていきます。
スカイラインGTR R32のスペックとは?
スカイラインはR31までの排気量は2.0Lとされていましたが、GTR R32では2.6Lが与えられ、ツインターボが搭載されました。
このエンジンはRB26DETTという直列6気筒のエンジンで馬力は280馬力を発揮し、当時自主規制とされていた最高出力が与えられたスポーツカーでした。
スカイラインGTR R32スペック
全長:4545mm
全幅:1755mm
全高:1340mm
エンジン型式:RB26DETT
エンジン種類:直列6気筒24バルブDOHCツインターボ
最高出力:280ps/6800rpm
最大トルク:36.0kgf・m/4400rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:4WD
GTR R32用エンジンは、開発段階で、エンジンや排気量を変えながら、様々なテストが繰り返し行われました。
そして日産の開発陣がたどり着いたのがRB型エンジンで、排気量を2.6Lとした物が最高に適していると判断され、そこにツインターボを搭載したRB26DETTが誕生したのです。
RB26DETTエンジン
このRB26DETTはカタログ掲載値280馬力とされていましたが、ノーマルでも実測するとこれを超えるエンジンも実在していました。
(ちなみに平成のスカイラインGTRにはR32型、R33型、R34型がありますが、開発陣が「スカイラインのエンジンは直6!」とこだわり続け、V型を採用しなかったという話もあります。)
トランスミッションは6速MTのみでATの設定はなく、生粋のスポーツカーとして開発された車でした。
そして、これまでのスポーツカーの常識を覆してしまったのは、このGTR R32に採用された駆動方式にありました。
当時、日産のブルーバードに搭載されていたフルタイム4WDアテーサEに、トルクスプリットコントロールとスーパーハイキャスを搭載することで、スポーツカーの常識を覆してしまったのです。
この当時のカーレースでは、4WDはコーナーでは不利だと言われており、これを開発した日産は関係者から罵られることになります。
しかし、いざコースを走ってみると、その驚くべきコーナリングスピードに、レース関係者は度肝を抜かれることになります。
これはスーパーハイキャスによって最小半径を小さくしていることに加えて、トルクスプリットコントロールにより4WDの前後のパワーをコンピュータがコントロールし、車の必要以上の過重移動を抑えることによるものでした。
このトルクスプリットコントロールによる過重コントロールは、コーナリング時のオーバステアとアンダーステアを極限まで抑えることができたのです。
この結果を出したことによってGTR R32は、スポーツカーの4WDがコーナーでは弱いという常識を覆してしまったのです。
また、この結果がGTR復活を証明し、後のカーレースシーンにおいて偉業を成し遂げる結果につながっていくと同時に、新たな宿命を背負う瞬間だったのです。
もちろんGTR R32にも欠点はありました。市販車としてのスピードは国内トップクラスでしたが、唯一の欠点として実燃費5.0km/Lと燃費の悪さが国内でもトップクラスとして挙げられました。
スカイラインGTR R32は室内もスポーツ感満載!
GTR R32の室内は、当時のスポーツカーとしては最高レベルのスポーツ感満載の室内になっていたというのが印象的です。
ステアリングはGTR専用となっており、純正品でありながらも手にしっくりとくる握りやすい作りになっていました。
センターコンソール最上段には3連メーターが配置され、左から電圧計、油温計、ブースト計の順に並んでおり、多くのファンを魅了します。
スカイラインGTR R32のステアリングとセンターコンソール
ただ残念だったのが、この3連メーターによってオーディオスペースが1DINサイズ分取られてしまっていたため、2DINサイズを入れる人は移設するなどの手間が掛かりました。
(当時の2DINサイズとなる車載テレビはダイバーシティアンテナが主でしたが、このアンテナがGTR R32ほど似合わない車もありませんでした。なので、テレビやナビをつける人は少なかったような記憶があります。)
そして室内で最高のスポーツ感を演じていたのが、GTR純正シートです。これは純正でありながら当時としては珍しい、ヘッドレスト固定型のセミバケットシートが与えられました。
スカイラインGTR R32純正シート
なんとこのシートはGTR R32以外の車に乗っている方たちも手に入れようとしていたくらいですから、その完成度の高さとかっこよさに多くのスポーツカーファンが魅了されていたのです。
スカイラインGTR R32 NISMOとVスペック
1990年3月に誕生したGTR R32 NISMOは、その名の通り、当時のNISMOが手がけたGTR R32に他なりません。
しかし、今のNISMOのような大きな変更ではなく、さりげなくNISMOだったというのも好印象でした。
スカイラインGTR R32 NISMO
まず目に付くのが、フロントバンパーに開けられたエアダクト。ナンバー位置の左右にエアダクトが開けられ、そのさりげなさがファンの心をあおります。
そしてさりげなくつけられたサイドステップ。サイドステップのエンド部分が下につき出しているだけという、なんともさりげないながらも強烈なインパクトを与えていました。
この画像のカルソニックGTRの基本はGTR R32 NISMOで、N1耐久(現スーパー耐久)のカーレース界において新たなGTR伝説を生み出した立役者でもあります。
1992年のマイナーチェンジでは、ブレーキの強化が施されたVスペックが登場し、後にブレンボブレーキシステムが搭載されたVスペックN1が登場します。
スカイラインGTR R32 Vスペック
Vスペックの特徴としては、大口径ブレーキシステムに加えて、純正のアルミホイールが17インチのBBS製になっているのが大きなポイントでした。
VスペックN1では、ブレーキシステムにブレンボが採用されており、当時としては大きな話題を呼ぶことになります。
スカイラインGTR R32は改造車というよりはチューニングカー!
車のノーマル車に手を加えてしまえばそれは改造車です。しかし、GTR R32の場合は、改造車というよりもチューニング車といった方がしっくりと来ます。
RB26DETTを搭載したGTR R32は、ノーマルでも当時の最高とされていた、280馬力を発揮したのです。
それでも当時のGTR R32のオーナーのほとんどが、手を加えていたというのですから驚きです。
RB26DETTはチューニングに対しての反応も非常によく、エアクリーナーとマフラーを交換しただけで数馬力上がるといわれていたため、これをやっていないオーナーの方が少ないくらいでした。
しかし、当時のGTR R32の新車価格は標準グレードで450万円程、中古車でも350万円以上のものがほとんどでしたので、誰でもチューニングベースにできる車ではありませんでした。
改造といえば、GTR R32に乗りたいがなかなか買えないため、スカイラインGTS-tを購入して、GTRタイプフロントバンパーやフロントグリルでGTRルックを作り出していました。
スカイラインGTS ノーマル
スカイラインGTS Rルック
スカイラインGTR R32は現在価格が高騰、維持費もかかる!
現在のスカイラインGTR R32は、中古車市場でも個体の少なさから高騰傾向にあり、中古車情報でも300万円以上となっています。
スカイラインGTR R32(BNR32)
年式:1994年式
走行距離:47,334km
事故歴:なし
車検:2018年1月
価格:369万9千円
これは誕生から29年が経過していることと、輸出が解禁となった海外(特にアメリカ)で高値の取引がされているため、海外への流出量が急激に増えたことによります。
自動車税も2.5L以上3.0L未満に該当しますので5万1千円となりますが、ここに10年以上経分が加算されますので、年式によっては古いほど高くなります。
車検も傷んできている部分が多いことから、部品交換などにもお金がかかり、さらにガソリン代を考えると維持費が心配になってしまいます。
純正部品を探すのも困難になってきていますが、万が一の時はGTR専門ショップへ相談してみるといいかもしれません。
ベストR GT-R専門店
こちらはGTR専門店のベストR。GTR専門店ですので、GTR購入だけではなく、アフターについてもノウハウを知っているので、安心できるショップです。
日産自動車ディーラー
スカイラインのことならやはり販売していた日産自動車が安心かもしれません。ただしディーラーのため、過度なチューニングには対応してくれませんのでご注意を。
以上、今回は
について紹介しました。
現在では数も少なくなり、見かける機会も昔と比べると激減してしまい、当時からのスポーツカーファンからすれば寂しいと感じてしまいます。
しかしたまに見かけると、当時からのスポーツカーファンはGTR R32発売当初の衝撃が今でも頭をよぎり、熱いものがこみ上げてくることでしょう。
私個人の意見で申し訳ないのですが、やはり今見てもGTR R32はかっこいいと思い、もう一度乗ってみたいと思ってしまいます。
何よりも第三世代の国産最強スポーツカーといわれる日産GT-Rは、このスカイラインGTR R32があってこそのものなのです。
そんなスカイラインGTR R32。現在所有している方、これから購入しようと考えている方、国産スポーツカー界ではすでに貴重なスポーツカーですので、大切にしていただきたいと思います。
ケンメリのGTRがぁ、見たかったナ…おじさん時代はやはり丸四つ目が印象的だったから…