車検の前になると「ワイパーのゴムが古いけど大丈夫?」「ウォッシャー液が出ないと通らない?」と気になる人は多いはずです。

この記事では、ワイパーとウォッシャーについて車検で何が決められているのかを、道路運送車両の保安基準(e-Gov法令検索)、国土交通省が公開している細目告示、自動車技術総合機構の審査事務規程の条文で確かめました。車検前の点検とウォッシャーの扱いは、自動車点検基準と自動車メーカーの取扱説明書(Web版)を使っています(2026年10月16日確認)。

なお、条文に合っているかどうかは検査のときに判断されます。この記事は「この状態なら通る・通らない」を決めるものではなく、条文に何が書いてあるかを紹介するものです。





ワイパーとウォッシャーの決まりは保安基準の第45条

ワイパーは保安基準では「窓ふき器」、ウォッシャーは「洗浄液噴射装置」と呼ばれます。どちらも道路運送車両の保安基準の第45条(窓ふき器等)に定めがあります。

項 書かれていること 対象から外れる車
第1項(ワイパー) 前面ガラスには、前面ガラスの直前の視野を確保できる、告示の基準に合った自動式の窓ふき器を備えなければならない 二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、被けん引自動車
第2項(ウォッシャー・デフロスタ) 前面ガラスの外側が汚れたときや、水滴などで著しく曇ったときに、前面ガラスの直前の視野を確保でき、かつ、安全な運行を妨げない、告示の基準に合った洗浄液噴射装置とデフロスタを備えなければならない 大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車、最高速度20km/h未満の自動車。車室と車外を屋根や窓ガラスなどで仕切れない車はデフロスタが不要

第45条が対象にしているのは「前面ガラス」です。リヤワイパーについての定めは、第45条にはありません。

車検で使われるのは細目告示の第225条

車検で使われるのは細目告示の第225条

第45条の「告示で定める基準」の中身は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(細目告示)に書かれています。細目告示は車の状況によって第1節から第3節に分かれていて、第161条によると、継続検査(いわゆる車検)を行う場合は第3節「使用の過程にある自動車の保安基準の細目」が使われます。

第161条は、継続検査のほかに、法第47条の点検・整備、法第90条の特定整備、法第94条の5第1項の証明のための判定などにも第3節を使うと定めています。

ただし同じ第161条の第2項では、改造や装置の取付け・取外しなどで構造・装置・性能を変えた場合(許可を受けた特定改造等などを除く)、その変更に係る部分には第2節の規定を使うとしています。この記事で紹介するのは、変更をしていない車に使われる第3節の内容です。

第3節のうち、ワイパーとウォッシャーの条文が第225条です。

ワイパー(窓ふき器)について

  • 前面ガラスの直前の視野を確保できる自動式であること
  • 左右にワイパーがある場合は、同時に作動すること
  • ブレードが老化などで著しく機能が低下しているものは、基準に適合しないものとする
  • 指定自動車等に備えられているものと同じ構造で同じ位置にあり、機能を損なうおそれのある損傷がないものは、基準に適合するものとする

ウォッシャー(洗浄液噴射装置)について

  • 前面ガラスの外側が汚れたときに、前面ガラスの直前の視界を確保するのに十分な洗浄液を噴射すること
  • 噴射した洗浄液がワイパーの払しょく範囲内にあたるものは、基準に適合するものとする
  • 走行中の振動や衝撃などで損傷したり、作動したりしないこと(デフロスタも同じ)

デフロスタについて

  • 専ら乗用の用に供する普通自動車、または小型自動車・軽自動車であって、乗車定員10人以下のもの(「専ら乗用」が掛かるのは普通自動車だけ。審査事務規程 8-109 の区分による)のデフロスタは、前面ガラスが水滴などで著しく曇ったときに、前面ガラスの直前の視野を速やかに確保する性能があること

検査ではどう見られるのか

検査ではどう見られるのか

自動車技術総合機構の審査事務規程「8-109 窓ふき器等」(改造などによる変更のない使用過程車)には、ワイパーとウォッシャー・デフロスタを「視認等その他適切な方法により審査」すると書かれています。並んでいるのは次の点です。

  • ワイパーが前面ガラスの直前の視野を確保できる自動式であること(左右にある場合は同時に作動すること)
  • ワイパーのブレードであって、老化または損傷により著しく機能が低下しているものは、基準に適合しないものとする
  • ワイパーの機能を損なうおそれのある損傷のないものは、基準に適合するものとする
  • ウォッシャーは十分な洗浄液を噴射し、洗浄液がワイパーの払しょく範囲内にあたるものは適合とする

細目告示第225条との違いもあります。ブレードについて第225条は「老化等により」ですが、8-109は「老化又は損傷により」と書いています。また、損傷のないものを適合とする規定に、第225条にある「指定自動車等と同一の構造・同一の位置」という要件が8-109にはありません。

条文が言っているのは「視野を確保できるか」「著しく機能が低下していないか」という性能の話で、ゴムの年数や交換時期などの数字は書かれていません。実際の状態が基準に合っているかは、検査のときに判断されます。

古い車は別の規定が使われる

審査事務規程 7-109-4(8-109-4 で適用)には、製作された時期によって従前の規定を使う定めもあります。たとえば平成6年3月31日以前に製作された自動車は「従前規定の適用⑥」、昭和50年3月31日以前の自動車(一部の旅客自動車を除く)は「従前規定の適用④」というように、製作時期ごとに区分されています。旧車で車検を受ける場合は、検査を受ける整備工場や検査場で確かめてください。

車検の前に自分で見ておけること

車検の前に自分で見ておけること

国の「自動車点検基準」の自家用乗用自動車等の日常点検基準(別表第2)には、「ウインド・ウォッシャ及びワイパー」の点検内容として次の2つがあります。

  • ウインド・ウォッシャの液量が適当であり、かつ、噴射状態が不良でないこと
  • ワイパーの払しょく状態が不良でないこと

どちらも、ウォッシャーとワイパーを実際に動かしてみれば見られる項目です。車検の前に一度確かめておくと、気になる点を早めに整備工場へ相談できます。

ウォッシャー液が出ないとき

トヨタの取扱説明書(シエンタ)は、液量が足りているのにウォッシャー液が出ないときはノズルのつまりを点検するよう案内しています。そのうえで、次のことに注意するよう書いています。

  • ウォッシャー液が出ないときに、ウォッシャースイッチを操作し続けない(ポンプが故障するおそれ)
  • ノズルがつまったときは販売店へ連絡し、ピンなどで取り除かない(ノズルが損傷するおそれ)

ホンダの取扱説明書(N-WGN 2026年版など)も、ウォッシャー液が出ないときはスイッチを切るよう案内しています(ポンプ故障の原因になるため)。

ワイパーの拭き取りが悪いとき

スジやムラが残る、ビビるといった拭き取りの悪さは、ゴムやブレードの交換で直ることがあります。交換の目安や方法、料金は「ワイパーゴムの交換時期(目安)や交換方法は?料金や工賃はいくら?」にまとめています。

ワイパーがまったく動かない場合は、ゴムではなく車側の原因も考えられます。確かめられることは「ワイパーが動かない・止まらない原因は?自分で確かめることと任せること」にまとめました。

車検をどこに頼むか迷っている場合は「ディーラー車検の費用は高い?値引き交渉できる?メリットも」も参考にしてください。

この記事で確認した条文・資料

  • 道路運送車両の保安基準 第45条(窓ふき器等)(e-Gov法令検索)
  • 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第161条・第225条(国土交通省「道路運送車両の保安基準(2026年3月31日現在)」掲載)
  • 独立行政法人自動車技術総合機構 審査事務規程 7-109・8-109 窓ふき器等(最終改正:第72次)
  • 自動車点検基準 別表第2(自家用乗用自動車等の日常点検基準)(e-Gov法令検索)
  • トヨタ 取扱説明書(Web版)シエンタ「ワイパー&ウォッシャー(フロント)」、ホンダ 取扱説明書(Web版)N-WGN 2026「ワイパー/ウォッシャー」